
10代の頃の思い出です。
当時、型枠大工のアルバイトをしていました。
化粧合板を運んだり、Pコンを固定したり、番線で鉄筋をクルクルと巻き付けたりと、体力的にもきつめの仕事内容でしたが、体力作りも兼ねて結構楽しくやってました。
型枠大工と言っても、RC建築の柱や梁を作る建築系ではなく、河川の護岸などを請け負う土木系です。
ある日、現場が終わり、親方が運転するバンで阿蘇の黒川(温泉地ではないです。川の名前です)沿いを走っている時に、
「ほう、あそこば見てん。綺麗かろうが。去年うちがしたとこぞ」
そう言いながら、親方が川の護岸の一部を指差しました。
型枠大工にとっては、隙間や気泡、ヒビがなく、みっちりと詰まったコンクリートが鏡のようになっている状態が、最高の仕事。
親方が指差した護岸も、当時その状態で仕上げたものだったらしく、まさに自慢の仕事として私に教えたかったのでしょう。
ところが当時の私は、長良川河口堰の反対運動に共感する「にわか環境保護派」(笑)でしたから、
「あんな自然を壊す人工建造物の何が綺麗なものか」
と腹の中で思いながら、適当に「へえ」とよそを見ながら相槌を打っていました。
今思えば、思想と実態が相反する状態の自分に、一番不条理を感じないといけないのですが、人の紹介でバイトをしていることと、お金が欲しかったが故にバイトをしていることに何の疑問も抱かない、いわゆるその辺の若者だったということでしょう。
前置きが長くなりました。
毎朝、犬の散歩で住宅街を歩きます。
仕事柄、ついつい家とお庭に目が行きます。
外観のデザイン、外壁の種類や色、サッシの形や色、フェンス、ブロック塀、照明、庭木、芝生、サンルーム、倉庫、駐車場などなど。
車ほどではありませんが、家(ここではお庭を含む「家」)は、細かいパーツの組み合わせでできています。
ざっくり言えば、例えば「モダン」と「ナチュラル」、「和風」と「洋風」、「自然素材」と「人工素材」などをベースに、設計士やデザイナーがパーツを選択して組み合わせています。
中には、ユーザーへの最終提供価格が決まっているがゆえに、「?」なパーツの組み合わせの家もありますが。多くは、施工会社のカラーとユーザーの意見が混ざり合った、もしくは施工会社に押し切られた(ような)形の家がそこかしこにあります。
私はそこに、造る人、暮らす人の「価値観」や、「美しい」に対する基準というものが現れていると思います。もちろんそれだけではなく、「便利」や「合理性」なども最終的な形に現れているのでしょうが。
ネットをひらけば、熊本でも様々な外構施工会社、ガーデン施工会社がヒットします。デザインや、コンセプト、価格帯も様々です。
その中で、なかなか検索でもヒットしないような、小さな会社のshino-sora gardenも、ガーデン施工会社として、末席を汚させていただいております。
それでも、これまで幾つかのガーデン施工の実績をいただくことができました。
そして、ありがたいことに、そのお客様と「美しい」の価値基準が同じと感じる中で、お仕事をさせていただくことができました。様々な家と庭を眺めながら、本当に美しい庭と感じる基準は、それぞれなんだなあ、と感じます。
shino-sora gardenでは、できるかぎり自然素材を組み合わせてお庭のデザインを作ります。
個性的な雑木を中心に、季節の移り変わりを感じていただけるお庭作りを得意としています。逆に言えば、コンクリ土間の駐車場や人工芝はちょっと苦手なジャンルです。
私たちが感じる「美しい」は、他の人には「面倒くさい」と感じられるかもしれません。
でも、「面倒くさい」庭ほど、愛おしく、愛すべき庭である、と私たちは思っています。
秋の落ち葉もまた風情と感じていただけるお客様がいらっしゃいましたら、一度shino-sora gardenのお庭をご覧になってみませんか?
ご連絡、お待ちしております。
shino-sora garden
ディレクター:宇藤和幸
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