庭作りの伴走者として
- shinosora77
- 5月22日
- 読了時間: 4分
更新日:5月23日
最近、インスタグラムのプロフィールを書き換えました。
妻と二人で営む、庭作りの仕事。
これまで、情報発信やインスタグラムは、ずっと妻に任せきりにしてきました。
けれど一昨年、ホームページを作り直したのをきっかけに、私自身のSNSアカウントを立ち上げ、細々とではありますが、発信やブログを始めました。
「黒子役から脱して、表舞台に出なさい」
——そんな妻の叱咤があったのも事実です。
ただそれ以上に、「これから庭を作りたい」という人たちへ伝えたい想いが、私自身の中で少しずつ溢れてきた、ということでもありました。
庭に息づく木々や下草を通して感受する、季節の移ろい。
元来カウンセラーとして生きてきた日々の中で得た、気づきや感性。
そうした情感や情緒に満ちたメッセージが妻の発信だとすれば、

私の場合は、もう少し具体的で現実的な発信が多いかもしれません。
たとえば、私たちが庭作りを請け負ううえで絶対条件としているのが、「土中環境の改善」です。
たとえ表面的なデザインがどれほど美しくとも(何を美しいとするかは人それぞれですが)、水と空気の循環しない土壌では、木々がその場所で永続的なエコシステムを築くことはできません。
虫の目線で、菌の気持ちになって、想像を働かせる。
木を植えてしまえば見えなくなる土の中の環境を、まず整えることから始める。
それは私たちの庭作りの大きなテーマのひとつであり、絶えず学び、研鑽を積まなければならない課題でもあります。
その「有機的な」取り組みが、なぜ必要なのか。どのように機能するのか。なぜ今の庭作りに求められているのか。
その解説や意義、事例を具体的に発信することが、shino-sora garden における私の役割だと考えています。
時には(中学校の理科程度ではありますが)水や空気が循環する仕組みを解説したり、その根拠をもとにした実践的なワークを紹介したり。
あるいは、施工中のお庭で、施した環境改善の跡がどう変化し、どんな成果を生んでいるのかを検証して発信することもあります。
決して「映える」内容ではなく、現実的な投稿が多いのですが、その一つひとつに、私たちの庭作りへの想いを投影させているつもりです。

加えて、そうした投稿とあわせて、私目線での庭での過ごし方や、ライフスタイルの発信もしています。
理屈っぽさとロマンティシズムとが混じり合った(我ながら面倒な)性分ゆえに、その時々で投稿の内容は、いろいろなスタイルになっていくのでしょう。
さて、SNSで私がフォローしている同業の方々のアカウントには、刻々と新しい施工例や取り組みがアップされていきます。
私の足りない知識と経験に、いつも知見を授けてくれる、師と仰ぐ造園家。デザインの美しいビルダー。ヒントを与えてくれる作庭師。
庭作りの世界の第一線に立つ方々が、季節ごとの現場の様子を投稿しています。
SNSを始めてからつい最近まで、私はそれらの投稿を見るたびに動悸が早まり、焦りを感じてばかりいました。
「何かしら、現在進行形の現場の様子を投稿しなければ。し続けなければ……」
そう思えば思うほど、私のSNS投稿は滞っていきました。
なぜ、スマホを操る指が止まってしまうのか。
うまく言語化できないまま、私は長いあいだ煩悶していたように思います。
そんなある日、最近SNSを始めたお客様から、一通のDMが届きました。
「お元気にやっていらっしゃる様子。ますます職人然としてきましたね」
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お客様の言葉は、好意からのものですが、なぜか胸にすっとは収まらず、しばらく残り続けました。
——私は、「職人然」としようとしていたのではないか。
いつのまにか私は、「職人らしく見えること」を、自分に課していました。
お客様の言葉は好意の称賛でしたが、同時に、そんな私の姿を映す鏡でもありました。

shino-sora gardenは、他社にはない 〜瞑想を用いたカウンセリング〜 で、お客様が心から望むお庭の姿を現すという、ヒアリングに止まらないアプローチをしています。
このアプローチができるからこそ、「このお庭を作って本当に良かった」というお声をいただけている、と自負しています。
そして、カウンセリングからお引き渡しまでの充実したお庭作りができているのは、妻のカウンセラー、コーディネーターとしての役割。
そして私の「伴走者」としての役割がバランスしているから、と改めて私たちの使命というものを考え直すきっかけとなりました。
施工自体は、本当に信頼のおける方々にお任せしています。
私がやるべきことは、誰かの隣に座り、その人の言葉にならない迷いを、一緒にほどいていくこと、そして「介在する存在として」業者さんにつなぎ、「庭」という形にしていく過程を整えていくことです。
冒頭に書いた、プロフィールの書き換え。私はそこに、造園業者とは書きませんでした。
代わりに置いたのは——庭作りの、そして家づくりの「伴走者」という言葉です。
木々が根を張るのを、土の中で静かに支える、あの環境のように。
私もまた、誰かが自分の住まいと暮らしを育てていく、その傍らで。
長く伴走できる存在でありたいと、そう思っています。





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