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これまでの「普通」を疑う」 

  • 執筆者の写真: shinosora77
    shinosora77
  • 2025年12月1日
  • 読了時間: 5分




shino-sora gardenの庭も12年ほど経過して、

メンテナンスが必要な箇所が、あちこち散見されるようになってきました。


とはいえ、shino-sora gardenの庭は、ガーデン事業をスタートする前に作庭したものです。


つまり、今私たちが提案している庭の作り方とは、全く違うやり方でできている庭ですから、「メンテナンス」というよりも、「作り直し」といった方が近いかもしれません。


人に例えるなら、外科手術を施す、薬やカンフルを処方するといったものではなく、根治治療で、その人が持つ本来の力を甦らせる、というイメージでしょうか。




「土中の環境改善」という手法(思想とも技術ともいえますが)に出会ったのは、庭に育つ木の様子が慢性的におかしい、何度も木や下草が枯れる、という現象の原因を探る中でした。


それまでは施肥や栄養剤を撒く、という知識しかなかったのですが、それでは何も改善しない、ということを知った時、大きなショックを受けたことをよく覚えています。


以来、環境改善をやっているトップランナーの造園家さんや、ワークショップに学びを求め、同時にお客様のお庭づくりにフィードバックする、という日々を過ごしていました。


ところが、忙しさにかまけて、振り返ると我が家(shino-sora)の庭の改善が進んでいません。



医者の不養生とは、まさにこのことでしょうか。



ということで、この秋から来年の春にかけて、全体的に庭の改善を行なっていこうと思います。

これまで、局所的にですが、shino-soraの庭での改善はしてきましたが、全体的な改善は初めてです。

とはいえ、shino-soraの庭は、アプローチをはじめ、メインの庭はクローズドのスペースになっており、重機を入れることが困難。

つまり、ひたすら手作業での改善作業となります。



しかし、改めて「過去の常識で作られた庭」がとのような施工であったのか、それが10年以上経った庭木にどのような影響を与えてきたのか、改善後の変化はどのようになるのか、というものを知る、いい意味で価値のあるフィールドワークになるのではないかと思っています。




ということで、11月の三連休、手始めにエントランスの改善作業に取り掛かりました。


北側にあるエントランスは、レンガのアプローチの両岸からプリペットのアーチがかかり、ハイノキなどの隠樹を植えています。春には、白い可憐なプリペットの花びらが雪のように降り、夏は暑さを和らげ、清涼な風を生んでくれます。


ところが、一昨年ほど前から、プリペットの根上がり、樹形の暴れ、下草の根腐れなどが顕著に。

そして今年の夏は、羽虫が多く発生し、低木の葉が蛾?の幼虫に喰われ、クロスワードパズルのように。


明らかな異常です。

見えない土の中、何かが機能していない。



コナラの髭根がひしめき合う表土の中。その下の層はカラカラに乾いていました
コナラの髭根がひしめき合う表土の中。その下の層はカラカラに乾いていました


何がどうなっているのか?


問題のエリアにスコップを刺します。

すぐにコツンと剣先があたった先は、モルタルの下地。

モルタルの下地は、実際に進入路として利用しているエリア以上に表土の下に広がっています。


これから改善しようとするエリアを改めて見渡し、ふう、とため息が出ました。

「エリア全てがこういう状態なのか・・・」


形悪く、その姿をくねらせる根や幹や枝が発する、救済の声が聞こえてきます。


意を決し、ベタ塗りされたモルタルを叩き割り、バールを使い、乾いて硬く締まった土を突き掘り始めました。



反対側のコナラが植る場所は、当初駐車場の予定で造成されたエリア。

こちらもグリグリ(貫通ドライバー)を差し込むと、10センチほどの深さでガツンと硬い地層に打ち当たります。

ハンマーを使い硬い層を撃ち抜き、なんとか下の層までグリグリを差し入れます。

硬い層は明るいグレーの砂礫と砂利のクラッシャーラン。

さらにその下は黄色い真砂土の層。


根元まであるこの硬く締まった層が、まるで真綿で締めるかのように、緩慢とコナラの成長を阻害しています。

クラッシャーランの上に客土された表土の厚さは申し訳程度で、薄い表土の中をコナラの髭根が込み合い、ひしめき合う、という様子。


驚くことに、当時植え込みをした造園業者は、根鉢が入るだけの最低限の穴を掘り、硬く締められた造成部分は客土で覆い隠していただけ、ということがわかりました。


最後に菌糸が乗った落ち葉でグラウンドカバー。丁寧に、生き物を育む空間になるように
最後に菌糸が乗った落ち葉でグラウンドカバー。丁寧に、生き物を育む空間になるように


古い日本家屋を解体すると、当時の大工棟梁の技術や思想に触れることができる、という話を聞きます。

棟札に記された名は、恥ずかしい仕事はできない、という心持ちの表れであり、誇りと言っても良いでしょう。

末長く、手がけた家が丈夫で長持ちするように、という願いを込めて。



普段見えない棟木に掲げられた棟札が、大工の矜持を表しているとすれば、

造園家の矜持や思想は、普段見えない土の中に表れるのではないかと考えます。


少々強引な理屈かもしれません。


ですが、想像力を働かせ、水や空気の動き、菌の働き、そして植える木そのものの成長を見越した上で、できる限りの環境を作ってはじめて木が植えられるのではないでしょうか。



有機無機が繋がり、影響し合うことで無限に変化し続ける土の中の環境を、人間がマネジメントすることはできません。それは傲慢な思想です。


そしてこの「土中の環境改善」という手法には正解というものがない。


迷えば山や森に学び、模倣し、観察することで、より良い手当てを施していくほかしようがない世界です。


一人でも多くの造園家が、こういった思いに立脚して「これまでの当たり前」に疑問を持ってくれればと願いますが、それを待たずとも、まずは私たちがやるしかない。


そして、このブログを読んで共感してくれる人が、一人でも増えてくれれば、と。




しかしながら、shino-soraの庭の改善、じっくりと取り組んでいこうと思います。

 
 
 

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